どうして社内SEは人気になれるのかしら?
社内SEは、事業会社で働くSEのことだ。
SEの仕事はきついって言うけれど、きつい要因が、「顧客からの仕事を断れない」「顧客側が仕様変更を依頼した場合、納期を延伸しづらい」ことが挙げられるんだ。
だけどそれは社内SEではどうなのか。実際どんな仕事があるのか。
詳しく見ていきたいと思う。
この記事が対象としている読者
- 社内SEの仕事内容について知りたい人
- 社内SEで働くメリット・デメリットを知りたい人
- 社内SEに向いている人がどんな人か知りたい人
- 社内SEに転職したい場合のおすすめ転職エージェントを知りたい人
転職活動前に準備すべき本
目次
社内SEって何?
上記の図のビジネスオーナー(事業会社)の間接部門に、情報システム部門という部門があるのが見えると思います。
社内SEは、社内の事業部門にある業務をIT化するための情報化戦略や、システム構築から保守運用まで行う仕事です。社内のシステムだけでなく、社内ネットワークやサーバーの保守運用ももちろん仕事としてあります。
社内SEは、主にこの情報システム部門でシステムをITベンダーから購入したり、社内のネットワークを整備したりするお仕事になります。
上記の図を見てもわかるように、ITシステムを買う側の立場なので、システムを開発するというよりも、超上流のベンダーコントロール(プロジェクトマネジメント)がメインになってくるお仕事です。
社内SEのエンジニアはプログラミングをするのでしょうか?
実際はほとんどしないでしょう。以下を見てください。
上記のように、日本企業の情報システム部門は自社でシステムを内製化できるほどのリソースを抱えていません。ITエンジニアの7割はITベンダーに属しているのが日本の特徴なのです。
そのため、ITベンダーがシステム開発を受注し、代わりにシステム構築を行ってきたのです。
最近は、コストカット目的でITを活用することを目的とした情報システム部門(間接部門)という位置づけでなく、経営企画室直下のデジタルイノベーション部門が設立され始めているといった流れも覚えておきましょう。
これは、経営や事業そのものにITを取り込もうという「攻めのIT」の目的でシステムを活用する動きです。
このことは社内SEへの転職を考える上で留意しておく必要があります。
社内SEってどんな仕事内容(職務)がある?
社内SEは、事業をITで効率化していくために、事業部門と連携してシステム化企画を行っていきます。そういった部門であることから、以下のようなお仕事に分類できます。
社内SE | 情報化推進・システム企画 | 社内の経営企画部門や事業部門からヒアリングしつつ、システム化を推進する仕事です。 |
社内システム構築・運用・保守 | 社内システムで使う勤怠管理システムや、財務会計、在庫管理システムなど、基幹系システムの構築から運用までを一貫して行います。 | |
社内インフラの構築・運用・保守 | 社内ネットワークやサーバーの構築から運用までを一貫して行います。 | |
サポート・ヘルプデスク | システムに関する従業員からの問い合わせの対応を行う仕事です |
転職活動をする時は、上記のようなお仕事から自分のやりたい職務を選択していきます。
基本的に、経営層に近い方が出世する可能性が高い、年収が高くなる傾向が強いため、モチベーションが高い場合は、「情報化推進・システム企画」を選ぶのが良いでしょう。
しかし、自分の得意分野がネットワークやサーバー周りの保守であるとか、サポート業務だった場合や、自分のペースで仕事をしたい場合は、社内インフラの構築・運用やサポートデスクを選ぶのが良いかもしれません。
情報システム部門は間接部門であることや、第2新卒扱いでの転職となるでしょうから、社内SEに転職したい方のほとんどは、「激務を避けたい」「自分のペースでこれまでの経験を生かした仕事をしたい」ような方々が多いのが特徴なのも留意しておきましょう。
社内SEの仕事1:情報化推進・システム企画
情報化推進・システム企画の仕事は、事業部門と連携しながら、IT戦略・中期計画の策定、システムの企画を担います。
ITの知識だけでなく、各事業部門の業務内容を理解するようコミュニケーション能力が求められます。
また、各事業部門の中に潜む課題を見つけ解決策を考えられる思考力、分析力が必要であり、ITに関する技術的な知識だけでなく、コンサルタントのような能力も求められます。
社内SEの仕事2:社内システムの構築・運用・保守
社内システムの構築は、システムの調達計画を立案し、ITベンダーにシステムの発注を行い、ベンダーコントロールをしながら構築支援を行います。
実際に構築のメインを担当するのはITベンダーであるため、発注したシステムの資産管理や、プロジェクトマネジメント(ベンダーコントロール)を行う必要があります。
デジタルビジネスの場合は、課題の抽出から始めるため、1次請けをITコンサルタントに発注するケースが多くなってきています。
ただ、システムを使うのはユーザ側であるため、ベンダー側とうまく調整しながら一部ユーザ側でも作業を担います。
また、ベンダー側に構築してもらうシステムのSLAをチェックしたり、システム監査を行うこともあります。
次に、社内システムの運用・保守は、納品されたシステムを、設計された運用方法に従い運用していきます。ユーザ側で責任を担っている部分の実際の運用から、トラブル時の切り分けやサポートからの問い合わせまで対応します。
社内SEの仕事3:社内インフラの構築・運用
社内SEは、社内ネットワーク全体の整備も仕事に含まれます。
ネットワーク回線が混雑している、サーバーが動いていない等、社内インフラの故障も社内SEの仕事になります。
システム構築の知識だけでなく、ネットワークやサーバー、セキュリティ周りの知識が必要になってきます。
社内SEの仕事4:社内ヘルプデスク・サポート
社内のシステムの使い方がわからない、パスワードがロックされてしまった等、社内で実際にシステムを使うユーザからの問い合わせに対応するのがヘルプデスクのお仕事です。
社内のユーザは、ITに関しては詳しくない場合が多いです(ITの会社除く)。
そのため、社内SEがシステムに関するヘルプデスクを担うことも多いです。
ITベンダーのSEと違って社内SEはラク!?
ITベンダーのSEに比べて、情シスの社内SEの仕事って、ぶっちゃけラクなの?
正直気になっている方は多いと思います。
ITベンダーに所属するSEの顧客は、どこでしょうか?以下の図を確認してみます。
答えは、事業会社の情報システム部門(の社内SE)となります。
つまり、情報システム部門の社内SEはITベンダーにとってのお客さんであり、立場としては上流となります。
一方、事業会社の社内SEの顧客は事業部門となります。(デジタルビジネスの部門の場合、経営企画部門直下となることもあります。)
つまり、社内の従業員が顧客であるため、スケジュールを柔軟に決定しやすく、ITベンダーのシステム開発よりも環境面できつくない傾向があると言えるでしょう。たとえば、スケジュールの延伸にも柔軟に対応可能と言えます。
社内SEに転職するメリット・向いている人
社内SEに転職するメリット1:残業時間が少ない
社内SEに転職するメリットの一つとしてまずは、残業時間が少ないことが挙げられるでしょう。
ITベンダーのSEは、限られた予算と納期で売上を上げる必要があります。また、仕事の影響範囲が社外にも及ぶため、自社の都合で納期を伸ばすことが難しくなってきます。
一方、社内SEは顧客が自社であり、仕事の影響範囲が自社に留まるため、万が一スケジュールに遅れが発生しても納期を比較的に柔軟に変更しやすく、無茶なスケジュールを立てることが少なくなり、余裕をもって仕事ができる傾向があります。
社内SEに転職するメリット2:よりユーザに近い場所でシステム構築に携われる
社内SEに転職するメリットの一つとして、ユーザにより近い場所でシステム構築を行うことができる点が挙げられます。
先述した通り、SIer業界はゼネコン構造を形成しています。
ITベンダーの、特に下請けの下請けなどになってしまっている場合、コンポーネントの一部のみの開発に携わるケースも多くなってきます。そうなると、最終的に納品するシステムがどんなシステムであり、どんなユーザに、どのように使われていくのか見えにくくなってしまいます。
一方、社内SEは、事業部門の業務に詳しくなることが求められ、その業務に基づきシステム化企画・IT化戦略を行います。その仕事はもはやSIer業界の超上流の業務であり、実際に顧客にどのように使われるかフィードバックももらえるでしょう。
また、実際にシステムを使ってもらって感謝されたり、顧客に喜ばれることに達成感を感じることも多いでしょう。
社内SEに転職するメリット3:一つのプロジェクトにじっくり携われる
社内SEに転職するメリットとして、プロジェクト間で異動するケースが少ないと言われています。
そのため、担当するシステムにじっくり向き合うことができ、そのシステムのプロフェッショナルとして成長することが可能です。
また、腰を据えてじっくり仕事に没頭できることから、比較的目標に向けて落ち着いて仕事ができるとも言えるでしょう。
社内SEに転職するデメリット・向いていない人は?
社内SEに転職するデメリット1:プログラミング・技術的な仕事からは遠のく
社内SEに転職する際、デメリットももちろんあります。
社内SEは技術的な仕事がしづらい、技術的なスキルが身に付きづらいデメリットがあります。
社内SEは、SIer業界の中でも超上流に位置します。
そのため、社内SEがするシステム開発は、システムをITベンダーから購入し、メインはベンダーコントロール、つまりプロジェクトマネジメントになってきます。
そのため、実際にシステムを開発するのはITベンダー側ということです。
社内SEに転職した場合、実際に1からシステム開発に携わる機会は少なくなってしまうため、プログラミングをどっぷり行いたい、技術的なことだけを仕事として行っていたい方は、ITベンダー側のSIerか、Web系エンジニアに転職することを考えましょう。
社内SEに転職するデメリット2:間接部門で第二新卒扱い。昇格スピードに影響も
社内SEに転職するデメリットの一つとして、第二新卒扱いで間接部門(例:情報システム部門)に入社するケースがほとんどであるため、プロパー入社した同年代の社員よりも出世で遅れをとってしまうことが考えられるでしょう。
出世したいという想いがあって今の会社で働いていたり、給料をどうしてもアップしたいという方よりも、落ち着いて仕事をしたい、残業時間を減らしたい、という方が社内SEに向いていると言えます。
社内SEの平均年収は?
社内SEの年収は全世代平均で471万円となっています。
職種別にみた場合、これは高い水準なのでしょうか?
結論としては、仕事内容と比較し高い水準なのではないかとみています。
下記の表で、職種別にみた平均年収を見てみましょう。
プロジェクトマネージャ | 657万円 |
---|---|
ITコンサルタント | 656万円 |
セールスエンジニア | 616万円 |
パッケージソフト・ミドルウェア・OS開発 | 524万円 |
アプリケーション設計(オープン系・WEB系) | 508万円 |
サーバー設計・構築 | 493万円 |
ネットワーク設計・構築 | 471万円 |
社内SE | 471万円 |
サーバー運用・保守 |
417万円 |
プログラマ(オープン系・WEB系) | 402万円 |
品質管理 | 390万円 |
ネットワーク運用保守 | 373万円 |
テクニカルサポート | 372万円 |
社内SEの仕事は、上流のプロジェクトマネジメントから、サーバー・ネットワークの運用保守、テクニカルサポートまで様々です。
その上で、この給与水準は妥当だと思います。
これは、ITベンダーが所属する傾向が強いその他の職種と比較しても妥当な水準だと言えるからです。
顧客とのプレッシャーなど職場環境の違いを比較したら、社内SEは働きやすさを求める意味で給与水準が高いと言えるでしょう。
社内SEへ転職するには!?おすすめの転職方法
社内SE転職への準備
今までの職務経歴・スキルの棚卸をしよう
面接では、自分のこれまでの業務経験やスキルを思い出し、どのように転職希望先の会社に貢献できるのかアピールする必要があります。
これまで携わってきた業務を、アピールしたい順に、3~5つほど用意しておきましょう。
携わってきた業務や経験年数が浅い場合は、携わったプロジェクトの中で行ってきたタスク単位で準備しても構いません。
社内SEの場合、プロジェクトの規模、売上規模、どれだけ売り上げに貢献したのか、あるいはコストを削減したのかをしっかり整理できると良いです。社内SEでは単にシステムをミスなく開発・運用することに加え、売上やコスト面で成果を上げられることをアピールすると経営層との面接でもしっかりアピールにつながるでしょう。
自己分析をしよう:自分がどんな仕事の仕方をしたいのか見つめ直す
社内SEは向き不向きがある職種です。
自己分析を行う意味は、「この転職で自分は何を実現したいのか」です。
向いている仕事に変えたいのか、ワークライフバランスを重視したいのか、事業側で仕事をしてみたいのか。
当ブログで推奨している3つの輪というフレームワークを活用してみても良いかもしれません。
転職者の中には、ITコンサル会社から社内SEに転職したけど、年収が200万下がった、という方も少なくないかもしれません。
それもそのはず。ITコンサルタントは残業時間も多いですが、社内SEは定時退社できることが多いです。
また、社内SEは異動が少ないため、数年経過すると仕事が退屈になってしまう方もいるかもしれません。
また、先述したように、事業会社の間接部門に第二新卒で入社するということは、キャリアのグレードも優先度が落ちるということがあるかもしれないということを留意しておきましょう。
履歴書・職務経歴書を書こう
履歴書や職務経歴書は、転職を考え始めた時点で準備しておいた方が良いです。
なぜなら、転職を検討し始めた時点で、自分が応募してみたい求人が募集されている可能性があるからです。
履歴書や職務経歴書の準備が間に合わず、応募したい求人に間に合わなかったということも起こりますが、生涯に数回あるかどうかという機会ですから、全力で書き上げたほうが絶対に後悔しません。
職務経歴書の書き方がわからない場合は、当ブログの記事を参考にしていただいてもOKです。
どちらにせよ、職務経歴書は、転職エージェントに添削してもらった方が良いでしょう。
これについては後述します。
社内SEへの転職で有利なスキル・業務経験
社内SE転職で有利なスキル1:ITコンサルタントの経験
社内SEに求められること最も重要な仕事としては、事業の中期的な経営計画を理解し、その業務を変革するようなシステムを分析し導入まで検討できるようなIT戦略の企画力です。
上記のような能力は、まさにITコンサルタントのような課題解決能力です。
事業会社の経営層は、事業部門の課題を分析し、ITを用いて組織を変革できるような課題解決力を持つ人材を、喉から手が出るほど欲しています。
ITコンサルタントの厳しい業界で得た知識は、社内SEに転職しても必ず生かされるでしょう。
社内SE転職で有利なスキル2:プロジェクトマネジメントの経験
社内SEの仕事の一つとして、発注したシステムを構築するために、ITベンダーの状況をヒアリングしながら要望を伝えていき、進捗や予算をコントロールしていくような、ITベンダーとの調整能力が求められます。
これは、SIer業界で求められる仕事の中でも超上流だからこそ出来る仕事の一つであり、マネジメントの能力を生かしたい方のやりがいの一つでしょう。
社内SE転職で有利なスキル3:システム構築・運用の経験
社内SEに求められるもう一つの能力として、システムの構築・運用経験があります。
社内SEはITベンダーにシステムを発注します。
その際、そのシステムが業務の要件を満たせているのか、どこで進捗が遅れてるのか、要件に漏れはないか、SLAはどうするのか、セキュリティの観点で脆弱性はないのか等、納品されるシステムの仕様をベンダーと相談しながら検討していくことになります。
また、システムの運用をITベンダーに外注しない場合は、自社で運用することもあるかもしれません。
社内SEは、プロジェクトマネジメントの能力だけでなく、システム構築や運用の経験と併用されてこそ、優れた社内SEと言えるでしょう。
社内SE転職で有利なスキル4:インフラ構築・運用の経験
社内SEの仕事の一つとして、社内インフラ全体の整備が挙げられます。
社内のシステムが常に安定稼働するためには、システム開発の知識だけでなく、サーバーやネットワーク周りの知識も必要となってきます。
ネットワーク遅延によりシステムの動作が遅い、ネットワークが故障した等、社内インフラの保守も社内SEのお仕事となります。
インフラエンジニアとして活躍していた経験があれば、社内SEへの転職も有利になることでしょう。
社内SEへの転職を失敗せず進める方法
社内SE転職でおすすめは転職エージェントの活用
社内SEの転職は35歳までと言われています。
社内SEの仕事は、現場で作業できる方を中心に求められる傾向にあり、年齢の高い方は採用しづらい傾向にあるようです。
そのため、社内SEへの転職を決意したら、早い段階で転職活動に踏み切ったほうが有利でしょう。
ただ、以下のような事情があり転職に踏み切れない方も多いと思います。
- どのように転職活動をすればよいかわからない
- 業務が忙しくて転職活動に踏み切れない
- なんとなく転職のリスクが怖くて不安
上記のような方も含めて、通常は転職エージェントを介して転職活動を行うのが大半です。
転職エージェントは無料で転職相談に応じてくれ、職務経歴書の添削や面接対策、志望企業への応募からスケジュール調整、年収交渉まで行ってくれます。
転職活動前に準備すべき本
転職エージェントに登録する前に、転職サイトにも登録しておこう。
また、転職エージェントに登録したいが、キャリア相談をしてもらう時間がないという方もいると思います。
そういった方だとしても、まずは転職サイトには登録しておくことをお勧めしておきます。
なぜなら、無料で登録でき、現状の公開求人をざっと見て、自分に興味がある求人が存在しているかを暇な時間にチェック出来るからです。
おすすめは、リクナビNEXTです。まずは最も大きい転職サイトを一つ登録してみて、自分の興味ある業界の求人情報をチェックしてみると良いでしょう。
まとめ
この記事では、社内SEの転職と仕事内容について解説させていただきました。
社内SEへの転職は人気です。
業務経験など、自分が得意としてきた分野を分析し、年齢的に若い段階で転職することがカギです。
また、現職が忙しいと言っては転職活動はできませんので、可能な限り時間を捻出できるように工夫したり、転職エージェントに支援してもらいながら転職活動をスムーズに進めてください。
エンジニアの転職希望者の7割が転職を希望すると言われる社内SE。。。
何も実力もないぴなもとが、倍率100倍の超難関有名ホワイト企業に内定を獲得し、転職を決めた方法、知りたくないですか?
社内SEへの転職は非常にテクニック的な要素が強く、内定をうまく獲得できなければ、
高倍率の沼にハマり、転職活動が長期化してしまうリスクも大きいです。
また、会社により様々な社風がある事業会社を受けるのですから、安易に社内SEに行けばホワイトとも言えないのが危険なところであり、
そんなぴなもとが、倍率100倍の競合から勝ち取った戦略的テクニックを以下で解説していています。是非一度手に取ってみてください。