SIの将来性なども考えていこう。
就活生やエンジニアがキャリアを考える上でも参考になると思うよ。
この記事が対象としている読者
- SI業界の事情について知りたい人
- なぜ富士通が配置転換に迫られたのか業界分析もしくは理由を知りたい人
転職活動前に準備すべき本
目次
そもそも富士通ってどんな会社!?
社名 | 富士通株式会社 |
本社所在地 | 東京都港区東新橋一丁目5番2号(汐留シティセンター) |
代表者 | 代表取締役社長 田中達也 |
設立 | 1935年6月20日 |
資本金 | 3246億2500万円(2013年3月31日時点) |
売上 | 4兆983億円(2017年度(平成29年度) ) |
従業員 | 連結 140,365名(2018年5月31日現在) |
事業内容 | SIを中心としたITサービス、スマートフォンやPCの事業、半導体事業 |
1つの会社で約14万人を抱える企業であるため、超大手企業に該当します。主力事業は、主に3つのセグメントで構成されています。
- テクノロジーソリューションセグメント(SIを中心としたITサービス事業)
- ユビキタスソリューションセグメント(スマートフォンやPC事業)
- デバイスセグメント(半導体事業)
売上比率を2017年度のデータを元に見てみましょう
引用:富士通株式会社 事業内容
富士通は、一般的なイメージで言うと、携帯やパソコンのイメージを持たれているかもしれませんが、売上げの75%はSIを中心としたテクノロジーソリューションなのです。
富士通とは?
- 14万人を抱える超大手企業
- スマートフォンArrowsやFMV,LIFEBOOKなどのパソコンが有名だが、売上の75%はSIを中心としたITサービス事業
富士通が経理総務の間接部門従業員5000人を、未経験に近い営業SEに配置転換へ
富士通は、経理総務人事を中心とした間接部門20000人のうち25%の5000人を、事業部門の営業SEに配置転換する発表をしました。
富士通は26日、2020年度をめどにグループ全体で5000人規模を配置転換する方針を示した。対象は人事や総務、経理などの間接部門で、成長分野であるIT(情報技術)サービス事業に振り向ける。非中核と位置付ける製造分野の切り離しも進め、事業の選択と集中を加速する。
都内で開いた経営戦略説明会で発表した。対象となる間接部門にはグループ全体で約2万人の社員がいる。研修を通じて営業やシステムエンジニアなどITサービスに関わる職種への転換を促す。グループ会社の間接機能を富士通本体へ集約することも検討する。
塚野英博副社長は「全社を横断的に見ると、専門的な営業やコンサルティング業務などで人が足りていない。コストの点からも適材適所な活用を考えたい」と話した。
富士通は非中核に位置付ける製造分野を切り離し、経営資源をシステム開発などのITサービスに集中させる構造改革を進めている。18年に入ってからは3月に携帯端末事業を投資ファンドに、5月にはパソコン事業を中国のレノボ・グループに譲渡した。
田中達也社長は15年の就任時に「連結営業利益率10%以上」「海外売上高比率50%以上」などの目標を掲げた。しかし、18年3月期の営業利益率は4.5%にとどまり、収益力の向上が急務になっていた。海外事業についても「まず利益を上げられる素地を作ることが優先」(田中社長)として、売上高比率50%の目標は今回取り下げた。
26日には合わせて、パソコンやサーバーを生産するドイツのアウクスブルク工場(バイエルン州)を20年をめどに閉鎖することも発表。周辺の関連拠点を含めて約1800人が対象になる。田中社長は「海外事業は製品製造への依存が強く、不採算拠点が足を引っ張っていた」とした。
富士通が主力に据えるシステム開発などのITサービス関連事業は売上収益のうち8割弱を占める。18年4~9月期のITサービスの営業利益率は3.4%と前年同期から0.2ポイント改善。製造業や流通業からの引き合いが強かったのが奏功したが、同業他社と比べると成長速度は遅い。
ITサービスを主力とする野村総合研究所の足元の営業利益率は13.8%と前年比で0.6ポイント上回る。富士通は開発の上流段階の営業で出遅れており、AI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながるIoTなどの新しい需要も取り込み「付加価値の高いサービスへの変革をめざし利益率向上につなげる」(田中社長)必要がある。
さらに次世代の無線通信規格「5G」の基地局機器の開発と営業で、世界2位のスウェーデン・エリクソンと提携することも正式に発表。田中社長は「1社でやっていく時代は終わった。他社と組みながら技術とサービスをどう売り込んでいくかが課題」と話した。
ITサービス、海外事業ともに課題は多い。打ち出した施策の実行のスピード感が求められる。
◇
富士通が26日発表した2018年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比87%増の811億円だった。6月に企業年金制度を企業の追加負担が生じない制度に変えたことによる一時的な利益が寄与した。本業ではシステム開発が民間、公共分野ともに伸びた一方で、国内の携帯電話基地局の投資抑制などでほぼ前年並みの利益水準だった。
売上収益は5%減の1兆8345億円だった。パソコンや携帯端末事業を譲渡したことが880億円の減収要因となった。システム開発の売上収益は6%増の4944億円。国内での拡大により、4~9月としては過去最高の売上高だった。ただ、「海外での新規案件の拡大は期待通りでない」(塚野副社長)としている。
この人事異動は、従業員にとっては異職種への転換ということになります。
普通に考えたらこの発表は、該当の従業員にとっては未経験職種への異動になるためかなりの体力を強いられることになります。
営業SEは、その職種特有の専門知識も必要になる事に加え、お客様の業務内容についても詳しくならなければいけません。
また、SIerの営業SEはとてもきつい仕事と言われています。富士通の営業SEといえば、残業時間も相当多いという噂を聞きます。そのため間接部門から営業SEに適応できる人物はそう多くはないのではないかという気さえします。
異職種へ人員を増強、適応できない人員は早期退職も活用、富士通がそこまでするのはなぜか?
営業利益率5%程度の低収益なSIビジネスから脱却の遅れ
なぜ、富士通は専門知識の異なる間接部門の社員を5000人も配置転換させるまで、構造改革に急いでいるのでしょうか?
それは、富士通が本業であるSIビジネスから、より高収益なビジネスを展開できるように脱却を目指しているが、それがうまくいっていないことが原因になります。
SIビジネスは、低収益な事業であることで有名です。それに対し、近年好調なコンサルビジネスは、アクセンチュアやデロイトなど外資系を中心に、単なるシステムの納品でなく、顧客の経営を分析してサービスをゼロから提案できるコンサルに強みを持ち成長を続けています。
売上成長率(対前年比%、USドルベース)を見てみましょう。
このように、SIの巨塔であったIBMの売上は減少しているにもかかわらず、コンサルは順調に成長をし続け拡大しているのです。
これは、単純に基幹系の大型商談の構築案件が少なくなってきており、またクラウドやOSSの普及により、インプリ(implementation=SIビジネス)がより簡単に実装できるようになり、稼げるビジネスが少なくなってきていることによります。
IBMはハードからソフトまでを一環して提供できることが強みでしたが、それは今やハードも不要なクラウドで代替できてしまうシステム案件が多くなっているということでしょう。
しかも、SIビジネスに比べ利益率も高いのが、コンサルビジネスの特徴です。
コンサルはSIのように定義された要件に従いシステムを構築するインプリのような単純なビジネスでなく、顧客の経営から課題を分析し、サービスを提案する、より上流のビジネスモデルに位置します。
そのため、NRIやアクセンチュアのコンサル案件が富士通などのSIerに下請けとして降ってきて、相当な中間マージンを取られてしまうことも多々あります。
もちろん、それを踏まえてコンサルは外注するので、高収益なビジネスを維持することが可能なのです。
このように、富士通はSIから脱却するために、デジタルビジネス、コンサルビジネスへと組織構造を改革すべく急いでいるのです。
しかし、デジタルビジネスにはエンジニアの内製力が必要であり、コンサルはより上流の知識が必要です。前者は今まで下請けに外注し、後者は元々得意分野ではありませんでした。
そのため、富士通は人員を補強してでも、シュリンクするSI業界から脱却し、稼げる素地を固めることが急務になっているのです。
今期の決算も純利益は黒字ですが、以前は退職金を削って代替利益を出していますし、その前も携帯事業の売却益で業績予想を達成するようにしました。
本業の売上が予想を下回ってしまい構造改革が遅れているのが実情です。
富士通はなぜ配置転換するのか?
- 低収益で業界的にシュリンクが見込まれるSIビジネスからの脱却を迫られているため
- 高収益なコンサル業界は、下流のSIへ浸食しつつ売上を拡大し続けている
今就職するならSIerから脱却できない企業は控えるべき
就職するならコンサルかWeb系
今、コンサルは案件が多すぎて、人員をかき集めているという話が溢れかえっています。
沢山儲かる案件は転がっているが、人員不足により手が付けられず、中途採用も強化しているようです。
特にアクセンチュアを例とすると、働き方改革を例に、従業員が働きやすくなるようにイメージを高め、中途採用を強化してどんどん売上を伸ばしています。
また、エンジニアを志望するならWeb系が良いでしょう。
SIerの場合、要件定義を重要視されるため、要件や設計が固まったら、プログラミングは収益性の低い工程とみなし下請けに外注してしまいます。
それに対し、Web系はビジネスとシステムを両方自社で行う内製企業ですので、ビジネスからシステムの両面を自分で考えることができ、やりがいは大きいでしょう。
転職活動前に準備すべき本
まとめ
この記事では、富士通がなぜ5000人もの人員を異職種に配置転換するのかについて解説させていただきました。
まとめると、以下のようになります。
「富士通がなぜ5000人もの人員を異職種に配置転換するのか」まとめ
- 富士通はSIビジネスを脱却しようとしている
- 非中核事業の切り離しなどは進むものの、構造改革が遅れ、本業の売上が改善していない
- SI業界はシュリンクすることが予想されるため、今転職するならコンサル業界かWeb系がオススメ
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